0909.03



「スンマセンでした!!」

「も、もう平気だから」
けほっ、とまた咳をして息を吐く。
「いい加減に頭を上げてよ」
涙目の赤い目と嗄れた声が痛々しい。
「くそ、10代目はお優しいんです」
五分間位ずっと咳込んでたのだ。
「いや、ごくで──」
「全てオレの責任です!
インスタントコーヒーすら満足に出せないなんざ、右腕失格です!」

ああもう、と息を吐く10代目。
「頼むから深刻にならないでよ。オレも自業自得なところあるし」
何故か、10代目の方が申し訳なさそうに頭を掻く。

「自業自得、ですか?」
どこが?

「それより早く食べよ。折角なのに冷めちゃうよ」
「あ、はい」

結局頼んだのはデリバリーの宅配ピザだ。

マルゲリータにシーフードのクリームソースパスタ。
サイドメニューにはポテト、ドリンク
和風チキンにマリネサラダとミネストローネ。

──わあ。

「どうしたの?」
「いえ、たまにはこういうジャンクフードも良いっスね」
「そう? うちは結構注文するけどね」
「へえ。意外ですね」
「意外?」
「てっきり10代目のお宅はお母様の手作りばかりかと」
「ああ、母さんと二人暮らしだった頃はそうでもなかったんだけど
今は大所帯だろ?大人数でも分けると丁度良いんだよね。楽しいし」
「良いんですか? 今は二人だけですけど」
「問題あるの?」
聞き返されて返答に詰まる。

「ないです。10代目、どうぞ」
「あー……オレはまだいいよ。喉、苦しくて」
ドリンクだけを手に取る。
「先に食べててくれる?」
「でしたらオレも待ってます」
「いいから」
「あ、はい」

やっぱり今日は押しが強いような。
まあ、こだわる場面でもない。
「ではお言葉に甘えて」

しかしちょっと落ち着かない。
手持ち無沙汰なんだろう。
10代目はオレが食べるのをじっと見つめてる。
一切れ食い終わったところで10代目が口を開いた。
「ビアンキはさ、ビザ食べる時にもナイフとフォークを持ってこい、とか言うんだよね」

「はァ? あァ」
そういうことか。
「スンマセンあいつ、しょーがねーな」

どうやらアネキとオレを比べてたらしい。
「うん」
苦笑する10代目。
「けどビアンキって、フォークとナイフをすごく綺麗に使うんだよ。
ちょっと見とれる。マフィアとか言っても根本的に育ちが良いんだよな」

……いいけど。
語る10代目の表情が優しげで、むかつく。肩をすくめる。
「あんなのは育ちが良いとは言いませんよ。ただの我が儘です」
「そう? まあ君は手掴みでもサマになってるけど」

ほめられた!

「オレはコンビニのおにぎり開封すんのとか得意ですよ?
今度開けて差し上げましょうか」
「あー、またね」
相づちが適当です10代目。

「でも君もビアンキと同じ環境で育ったんだよね。
ああいうテーブルマナーとか見せられたら
オレ、獄寺君を見る目変わりそうだけど」
そう言ってなぜか恥ずかしそうに視線をそらす。
「ってか恰好良いと思う」

思わず微笑む。
「さあ、どうでしょう。
オレはアネキと違って城にいたのはガキん時だけですから
同じ様にはいきませんよ」

「……そこはオダテに乗らないんだ」

なんで悔しそうなんですか。
ナイフとフォーク使って見せてほしかったのか? まさか。

「まあ、オレは城を飛び出してからの生活の方はひどかったんで」
「どんな風に?」
「──や。たいしたこっちゃないっすけど」
やべ。気が緩んでたみたいだ。余計な口を滑らした。

「ふうん」

「?」
不機嫌そうだな。
「そういえば君って普段はどういう食事をしてるの?」
「食事ですか? ふつうですよ」
「ほんとに?」
「……なんで疑うんです?」
「だって君の普通って普通じゃないし」
「んな?」
ナチュラルに毒舌をおっしゃる。
「そもそもまともに料理できなかったよね」
「菓子作りは覚えました!」
「うん。他には?」
「……料理はできませんけど」
「だよね。一人の時はなにを食べるの?」
「えーと、コンビニ弁当とか」
「他は?」
「パ……パン、とか?」
「しどろもどろだよ」
「そりゃ、んな矢継ぎ早に聞かれても困ります」
「えー? 普通だよ」
「全然普通じゃないです。
今日の10代目は10代目らしくないです」

無表情にオレを見上げる10代目。
「どこがおかしいの? 君のことを聞いてるだけなんだけど」
「それが変だっていうてんです。
10代目は普段んな下らない質問しません」
「……下らないんだ」
「どうでも良いでしょうがオレの話なんて」

アレ? おかしい。
どうしてオレは10代目と言い争いみたいになってんだ。
だいたいこんな態度を取ってたら、また怯えられるってのに。

けど──

「……君の生い立ちって、肝心なことはほとんど
リボーンやディーノさんから教えてもらったんだよね」
10代目の返答はやけに静かだった。
「はい?」
いきなり何だ。
「オレは直接、君の口から君の話が聞きたいだけだよ」

「……わけわかんねえ」
口にしてしまってから、はっとする。言い過ぎた。
「すんません、今のナシで!」

「わかった」
10代目が立ち上がる。
「オレ帰るよ、邪魔してごめんね」
 

    †

「……え?」

「だって迷惑なんだろ?」
「んなこたありません!
だいたい危ないですよ、もう夜中ですし、せめて」
「ああ──送ってくれなくても平気だから」
やんわり先手を取って断られる。
「ですが」
「こう見えてオレ、弱くないし」
ちらりとオレを見上げてふと笑う。
「どっちかといえば君の方が危なっかしいよね」

いつになく傲慢な台詞。
もしかしてハイパー化し──てないし。

「すんませんでした」
「なんで謝るの?」
「怒らせたんなら、すみません。だから10代目、あの」
──だから何だ?
帰らないでくれ?

引き留めてどうするんだ。

帰るっていうなら、正直その方がありがたい。

だってこの人にこれ以上、踏み込まれたくない。
 

    †

10代目はオレを友人として尊重してくれている。
だけどオレには、友人以前にボスだ。
だから本来、一線を引くべきで、
だから、オレが線を引かないといけない。
──なんて建前言って、本当は怖いだけだろ。
心のどこかで声がするけど
聞こえないふり。

「じゃあメイレイ」
10代目が言う。
「──え?」
「命令なら聞けるよね。オレは帰りたい。ここにいたくないから」
「……は」
「獄寺君?」
「あ、はい。わかりました」
間の抜けた返答に10代目が眉をひそめている。
そっか。
流石10代目だ。よく分かってらっしゃる。
そう言われたらオレが逆うわけがない。

──分かってて命令したんだ。

なんだこれ。心臓のあたりに穴があいた気分。
ショック受けてんのかよ一丁前に。
これが理想の展開だろうが。
望み通り。
なのに、
「獄寺君?」
「あ、いえ。なんでもないです。
ろくにお構いできなくてすみませんでした」
10代目が戸惑ったように見上げてくる。
そりゃそうだ。
帰りたくても帰れない。

「……どうしてどいてくれないのかな?」
戸口を背にして、出口を塞いでいるのはオレだ。

「あ。その」
どうしよう。

「帰しません」

言葉が勝手に出た。

     †

返答は聞こえた筈なのに10代目は沈黙したまま。

オレは自分の発言を取り消さないと、と焦るのに喉の奥が支えて口が開けない。息が詰まる。声の出し方忘れたみたいだ。
目を上げる10代目。挑むように睨まれる。

「オレの命令、聞けないんだ」
弁解しろ。
今ならまだ間に合う。

「はい」

じゃねえだろオレ。間違えんな。
ボスからの命令は絶対だ。
今は『あのとき』と違う。逆らう意味だってないのに。

「そう」

どんな顔をしているのか見たくねえ。目を瞑る。
唇になにか触れた。

「──った」
吐息のような囁きがやけに近くに聞こえる。
──良かった?
なにが。

とさっと肩に重み。目を開くとそこにはふわふわの頭。
10代目は人の肩に凭れて長いため息をつく。
思わずびくっと震えた。ちょ、
ため息になに反応してんだ、

「だ……大丈夫ですか? 10代目?」
大丈夫だ誤魔化せてる。

「──駄目」
顔を上げた、その瞳は笑ってる。
「引き留めてくれなかったらどうしようかと思った」
へ。
「10代目、怒ってないんですか? オレ命令に逆らったのに」
ひくりと口の端を上げる10代目。
「あのね、命令聞かないからって、オレが怒ると思う? 君に」
「そりゃ思いません」
けど、
「……若干、苛ついてらっしゃいますよ?」
「だろうね」
「あっさり認めますか!?」
「怒ってるのはホントだし」
「んな!?」
10代目は溜息。
「いいよ。どうせ君はオレが何に苛ついてるかわかんないんだろうし」
「んなことありませんよ!?」
こともない。
「……ちょっとお待ちください考えますから」

けど10代目からの突っ込みは無い。
やべえ考えが纏まらねえ。
玄関に押しつけられてる体勢のせいか、迫られてるような錯覚
──意識的に考えないようにしてたのに、頭をよぎるバカな妄想。

「あの、10代目」
「うん?」
「……さっきオレになんかしました?」
「なにかって?」
「き」
じっと見つめられてる。
「な、なんでもッ──おわ?」
唐突な振動にびくりとした。
10代目の懐の携帯だ。マナーモード?

「な……鳴ってます」
「うん」
携帯を開けて、けど10代目は受話器は取らないで閉じてしまう。
「12時すぎてる」
「はあ」
時間を確認しただけ?
携帯の振動はしばらくして止まった。

「ねえ、獄寺君」
「──? はい」
不意に真剣な表情をするから背筋を伸ばす。
「君はもっと、オレ以外に笑うと良いんだ」
「……は?」
思わず笑ってしまう。
おかしかったわけじゃない。

「どうして、んなこと言うんです?」
「そうすれば世界が広がるから。君はマフィア以外の世界を知らない。だから、こんなつまんないオレにこだわるんだ。もったいないよ」
反論しようとした口を、10代目は指で止める。
笑う。
「本心のところは独占したいんだけどさ。オレだけ、なんてのはワガママだだよね。だから、せめて最初をもらうよ」
「さいしょて」

「誕生日おめでとう」

「──は」
「今日、君の誕生日」

     †

呆然とする──余程ぼけっとしてたんだろう。
10代目はさっきは放置していた携帯を開いて履歴をみる。

「うわ!? 」 なんか慌ててる。 「もうみんな来るみたい」
みんな?
「誰がです?」
どこに。

「ええと、ね。
今日は君のお祝いに皆が集まることになってたんだ。ここに」

ここって──オレの家か!?
「オレは聞いてませんよ?」
うん、と頷く10代目。
「言ってなかったからね」
「んなっ!?」

「あ、はは……」
気まずそうに笑う10代目。
「ほら、サプライズパーティーって本人には内緒にするだろ?」
あきらかに苦しい言い訳をしてらっしゃる。

「……10代目。
人の家に勝手に押し掛けるなんて計画を立てたのは、どいつです?」
10代目なわけがない。
「山本ですか?」
「違うよ。リボーンだから」

「……ああ」
がくりと肩を落とす。
「そっちスか」
リボーンさんなら仕方ない。
「ご、ごめん。今からでも断ろうか?」

「10代目が謝ることじゃありませんよ」息を吐く。「いいですよ」
「いいの?」
「はい。覚悟決めました」
「かくごって……」
大袈裟な、とかごにょごにょとつぶやいて、10代目は曖昧に笑う。
「えらいよ獄寺君、男らしい」
「ありがとうございます」
……いまいち褒められてる気がしないが。男らしいとか言われてなくても女々しくない──ふと我に返った。
「そういえば10代目。男でお菓子作りとかオレ、きもくないですか?」
「え」
きょとんと首を傾げる10代目。
「いま気がついたんだ?」
「10代目え!?」
「あ、でもおいしかったよホント。ビアンキって教えるのだけはうまいんだね」
ん?
「オレはアネキには習ってませんよ。料理の本を見ただけです」
「え、うそ!?」
「……そんなに驚くところですか?」
「だって君、前に本を見ながら作って失敗してたよね。ほら、女の子のストライキの時とか」
「──あァ。そもそもあの手のマニュアルは本来、頭に叩き込んでから実践するべきなんですよね。
あれだって情報を分析できる時間さえ与えられりゃ……
って言い訳にしかならねえんですが」

「料理の話に聞こえないんだけど」
感心してるのか呆れてるのか10代目は微妙な反応。
「でも、すごいね」

「……すごいっすか?」
「うん。今度はイタリア料理も覚えてみてよ。本場の味とか食べてみたい」
「任せてください! ごちそうします!」
「ありがと。けど今日は主役は君なんだからさ──」
急にはっとした表情で青くなる。
「ごめん」
「どうしました?」
「オレ、誕生日プレゼントもってきてないんだった」
なんだ。
「全然構いませんよ」
そんなの。
10代目のお気持ちは嬉しいが、欲しくもない。
誕生日なんて祝う気になったことがねーし。

どっかと言えば嫌いな日だ。

自分が生まれなければ不幸にならなかった人がいる。
嫌でもそれを思い出すし。

「手ぶらでなにしに来たんだろオレ。意味ないよなゴメン」
けど10代目はしきりと恐縮してる。
……。

「そういえば10代目」
呼びかけて、
「うん?」
ちょっとした不意打ちを仕掛けた。
「──なっ」

軽い口づけの後、唇に指を這わす。
確かめた感触は、同じ。
「さっきの、やっぱりキスですよね」
「──な」
「間違えました?」
見てる間に10代目の顔色が目まぐるしく変わる。
「なっ、な、なに今の。どうしたの」

ずいっと前に這い出るとたじろいで尻餅をついた。
「オレだってやるときはやります」
「……はァ?」
追いついて馬乗りになる、膝に手を置いたところで慌てだした。

「ちょっと待って! 君、変なスイッチ入ってるからね!?」
「大丈夫です10代目、痛くしませんから」
「いやいやいやいや」肩をぐいっと掴んで押し戻された。
「落ち着けって。意味わかんないよ君。何なんだよ」
「落ち着いてますよ。10代目こそ何なんです」

「オレが悪いの?」
聞き返された。

違います! 10代目は悪くありません。
どうせそんな答えを期待してるんだろう。

「──そうです」
「え?」
ゆっくりと近づく。
それでも10代目からの制止はなかった。
もう一度、今度は額に口付ける。

「もらっときます」
顔を離して、笑いかける。
「──っ」
「プレゼントってことで」

たぶん、多少の暴走は許してもらえるだろう。
誕生日って免罪符を使うのは我ながら捻くれてるけど。
10代目は俯いてしまった。

……

や。
やっぱり、マズかったか?
沈黙に不安が増す。

せめて一言の突っ込みでも、文句でも言って欲しい。つか無言の抗議は予想外だ。笑い飛ばしてくれた方がマシだ。

てか、そもそもさっきのはオレの早合点じゃねえのか?
あれはキスじゃなかったかもしれない。

だとすりゃ、独りよがりでとんでもないことしたんじゃ──
一気に血の気が引く。
なんであんなことしたんだオレは時間よ戻れ。

「ごめん」

ようやく10代目の口から出たのは謝罪の台詞。泣きたくなってきた。
「や、その……謝らないでください。もうしませんから」
動揺をごまかすために半笑いになって身を引く。
とりあえずここから逃げたい。消えたい。が、

手首を捕まれた。
「10代目?」
目の色がおかしい。

なぜかわき起こる本能的な恐怖。
「……離してください?」
思いの外、強い力で引っ張られてバランスを崩す。
抱きとめられてほっとする──腕が背中に回される。
「あのさ」
耳元にかかる吐息が熱い。
しがみつかれている?
いや、冷静に状況を分析すればこれは抱きつかれているのか。抱きしめられてるのか。違え。んなこたどうでもいい。
意味がわからない。事態に思考がついてかない。

「煽ったのは君ってことでいいの?」
10代目が聞く。

「……」 なにが? ──理解。「違」

台詞が途切れる。唇をふさいだのは口だ。舌が。

途切れそうな思考の中、どういうわけか、オレは髪に埋められた指をやたらに意識してた。だって首筋をなでる指がきもちいい。

チャイムが鳴った。

ぱっとすごい勢いで離れる10代目。
「……ごめ」
素に戻ったらしい。
「残念です」
「んな!? ど、どういう、いやあのオレっ」
ドンッドン。
「ヒッ!?」
……背中にノックの振動。
「おーい、入ってますか?」
無遠慮な呼びかけは、ドア越しに。

「……チッ」
思わず自分ちの玄関を蹴る。
「夜中に押しかけんなボケ!」
「だよなあ?」

ドアを開けると、山本の肩にはリボーンさん。
「文句を言うなタコ頭。こっちだって極限に眠いのだ」
「……だったら来んなよ」
「悪ぃなー。小僧に連行されてさ」
山本にはめずらしく弁解まがいの台詞を吐きやがる。
「ほぉ? つまり邪魔を承知で来たってことか?」
「まあ、そうだけど獄寺、誕生日おめでとうな」
「極限に祝ってやるぞ!」
「なっ?」

目の前に寿司と花束が差し出されて、怒鳴ろうとしてた気概を削がれる。

「……すごいですね、お兄さんのプレゼント」
「オレの趣味なわけがなかろう。京子のやつに持たされたのだ」
「あ、さすが京子ちゃん、センスいいな」
「チビ共からも預かってるぞ」
手に乗せられる、あめだまに、肉まん。
「なんだ、このちゃっちーのはよ……」
意外と、嬉しいって感情がある自分に戸惑う。

「はは……けどまさか今、来るとは思わなかった」
と空笑いの10代目。「早かったね」

ふん、と鼻を鳴らしたのはリボーンさん。
「着信拒否ってんじゃねえよダメツナが」
「……うるっさいな、忙しかったんだよ」
「どう忙しかったってんだ?」

「あ、あのリボーンさん! わざわざオレのためにありがとうございます!」
「別にオレは祝う気はねえ」
「あ、そうっスか」
「だったら何しに来たんだお前」
「勿論、激励の為だゾ」
「げきれいっスか?」
「獄寺、この日の意味が、わかるか? お前は今日はひとつ未来のボンゴレボスの右腕に近づいたんだ。これからもファミリーの為に精進しろ」
「リボーンお前な、偉そうにふんぞり返ってまた適当な」
「ありがとうございますリボーンさん!! この日を境に一新、獄寺隼人頑張ります!」
「……乗せられてるし」
溜息つく10代目。
「まあ、でもよかったよ。獄寺君喜んでるし」

なにを。
「……迷惑です。オレは10代目さえいらっしゃれば満足だってのに」
「ふーん?」なぜか、笑う。「口元緩んでるけど」
「──っ?」
慌てて口元を隠したオレに、10代目は悪戯っぽく笑った。

「悔しいけど。続きはまたね」

 


おおめでとうおめでとう。
去年はインフルエンザ流行ってたんだナ
……
乗り遅れにも程があります。